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イチゴ

 イチゴはグングン伸びてきてます。4番花もそろそろ咲きそう。4月末に撤収する予定なので、今ある蕾で最後かなという感じですね。ハダニがまた増えてきてるので叩いておかないと。アブラムシはいない。

 

 毎日このくらいとれてる。一番大きいのはゆうべに自殖系統で、不受精果だけどめちゃくちゃでかい。ゆうべに自殖系統は花粉の出はすごくいいけど雌しべの稔性が弱い感じで、とちおとめ自殖系統は逆。なのでとちおとめ自殖系統にゆうべに自殖系統の花粉を交配すると綺麗に受精する。

 

 3月上旬に休眠覚醒して草勢が強まり始めた時期に、特によつぼしは糖度が下がって味が薄くなってたんですが、中旬になったら回復してきました。今は結構うまい。弱ってる葉しかない状態で新しい葉を元気よく伸ばし始めたなら、そのエネルギーは本来果実に送るものだったはずで、草勢の急激な回復は糖度の低下に繫がってしまうんですね。厳寒期にも電照で草勢維持しておけばこの落差を緩和できるのかもしれない。今年は選抜のために電照無しですが、来年は電照しようかなと思ってます。

 

 ゆうべに自殖系統YBS1-5 今伸びてきてるのが4番花。この株は今のところ、1番果で135g、2番果で140gとれていて、3番果はやや少なく100gくらいになりそうな感じ。最後まで1芽で来てしまったけど総収量は500g超えそうなので、自殖世代としてはかなりの多収系統になりました。(途中でこの株から出たランナーを植えたものは今2芽になってるので、芽数が全く増えないというわけではなさそう。そっちの株も実がでかい)

 

 YBS1-5の1番果がなってた時の様子。5果に制限して135gとれたから平均1果重は27g。わりとでかい。色付きは他の系統より良くて、味も甘酸あって良好、香りもいい。空洞果は無い。形が若干、先端が鋭く絞られるような感じで、特徴的ではあるけどどうなんかなという。

 

 ゆうべに自殖系統YBS1-14 こちらの方が5よりやや早生かもしれない。草勢がやや強いかもしれない。芽数が多い。果実は似た感じで、若干小さいかもしれないが、普通にでかい。果梗は短い。芽数が多くなったので3番花の収量がかなり増えそうで、総収量ではこちらの方が多くなる。どちらの方がいいか現時点では不明なので、両方を交配親として使います。今のところ果梗の長さはほぼ確実に異なるなと思ってる。

 

 とちあいか自殖系統TAS1-5 今期栽培したイチゴの中で最も開花が早かった株で、果実は大きくて綺麗、味もまあまあよかった。花数が極めて少なく、1房に3個くらいしかつきませんが、連続出蕾性が極めて優れ、1番と2番の間に2個くらい出てきます(いいのかどうかは不明)。これとゆうべに自殖系統を交配して、来年度のイチゴ栽培に使う種をとりました。発芽するのかどうか心配すぎる。

 

 とちあいか自殖系統はもう1個有望系統があって、TAS1-10、こちらの方が花数が多い。草勢はやや強いかもしれない。栽培している場所が違くて、ハウスではなくトンネルで育ててるので、厳密に比較ができないが、そのトンネルの中では一番よく育ってる。

 基本的にはこの2系統×2系統で4通りの組み合わせで交配しました。発芽率が……20%くらいあればいいけど、とちあいかの血が悪さをする可能性がある。頼むぞ。

 他に、とちおとめ自殖系統のTOS1-17、TOS1-28、TOS1-30も有望系統として、ゆうべに自殖系統と交配した。17と28は総合的に欠点は少なそうで、30は色がやや薄い。どれも味は良好だけど、とちおとめ以上でも以下でもなく、期待したほどのものは得られなかった。普通に美味しいけど、既存品種の味を直接超えるのって無理っぽいなという結果になりました。あとは他の系統と交配してどうなるかですね。

 

 とちあいか自殖系統TAS1-6 異常な個体。厳寒期もずっとこの強烈な草勢で、果実は不受精になりやすく、味が薄い。他の品種と交雑してるわけでもないと思う。これで果実が綺麗にとれたらいいんだけどね。極強立性という感じで、めちゃくちゃ手入れしやすい。本当にどうしちゃったのよ君は。

 

 立派すぎるイチゴを頂きました。左があまりん、真ん中が古都姫。とても自分では手が届かないような立派なイチゴです。で右がうちのよつぼし。なんじゃこの差は!

 50g超えでこの綺麗な果形、そして味はめちゃくちゃ美味しかったです。なんか、すごいね〜。縁が無いのでよくわからないんですが、高級なところ(曖昧)では今この2品種がトレンドらしいです。イチゴってこんなに美味しくていいんだ、っていう。

 品種もともかく、作り方も相当やばい事をしている可能性がある。1花房に1個しか実をつけない、みたいな。それでも利益出るような売り方ができるなら、ありな気がする。それだと回転早いから6番花までとれて、総収量300g以上。案外悪くない。

 

 というわけで採種させていただきました。晩生の品種なのでかなり選抜率は低くなると思いますが、100株くらい作ってみます。うまくいったら交配親として、食味を高めるために利用していきたいところ。

 

 優れた形質に関する遺伝子の一部が潜性であれば、片親として交配するだけでは完全には遺伝しないので、もう一度交配する必要があるが、それだと他の有害遺伝子がホモ接合になって悪さをする可能性が高い。複雑に何世代も交配を繰り返す事で改良を進められる例(かおり野)があるので、自分もその毎年交配を繰り返す育種法でやっていこうと思う。毎年サイコロを投げ続けるという感じ。規模が小さいのが難点だけど、そこは気合でカバー。