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イチゴ品種改良

 イチゴ実生苗たち。これは全部ゆうべに自殖です。ハダニが発生して若干汚くなったけど、株によってはランナー出始めてるし、まあOK。

 マシン油やナタネ油によるハダニの殺卵効果というのがかなり強いらしく、しかも面白い。ハダニの卵の内部に油が侵入して、ツルツル滑ってハダニが卵の殻を破って出てこれなくするらしいです。しかも天敵のダニの卵は問題なく孵化できるらしく、かなりいいなと思った。

 

 よつぼし。よつぼしもランナーで結構増やせそうですね。よつぼし食べた事ないんだけど、複数品種をいちご狩りで食べてる人はよつぼしが一番うまいと言ってるので、だんだん楽しみになってきた。

 

 とちあいか自殖。とちあいかは発芽率が低いです。無処理だと発芽率1%未満で、1ヶ月間の低温処理でも5%くらいしか発芽しない。とちおとめは無処理でも10~20%くらい発芽します。発芽率には品種間差があって、かおり野は特に発芽率が高いらしい。よつぼしの片親がかおり野なので、種子繁殖型品種には重要なところ。

 

 今後のイチゴの育種計画としては、組み合わせ能力が優れるだろうと予想している「とちおとめ×ゆうべに」を基本として、種子繁殖型品種を目指したいので複数の固定系統を作っていきつつ、固定途中の有望な全ての系統同士を交配して組み合わせ能力の検定(これやる意味があるかどうかは謎だけど一応やる。自殖系統を単に育てるより、組み合わせて能力を見れば両親だけでなく子も見れるので一石二鳥だろうという考え)とかもやっていく感じです。来年の12月に「とちおとめ自殖1代目×ゆうべに自殖1代目」の果実が収穫できる予定。それで一番よかった組み合わせが将来の種子繁殖型品種の組み合わせの有力候補になる。

 自家消費用の促成栽培品種。とちおとめよりも食味が優れて、収量は同等、その代わり日持ち性は劣り、着色や形状の揃いは劣る。果実が柔らかい事によって、糖度が同等でも甘みや香りを感じやすくなる。完熟果での収穫となるため酸度は高い方がよい。

 ゆうべにの祖先はひのしずく、さがほのか、かおり野の3品種で、とちおとめ×さがほのかと、とちおとめ×かおり野の組み合わせでは既に実用化された品種があります(組み合わせ能力が高い)。ひのしずくは栃の峰(味がいい品種)を元に作られた品種で、栃の峰はとちおとめの親でもあるので、こういった組み合わせなら相性がいいだろうと予想してます。自分の味の好みとしても、とちおとめは風味が好きで、ゆうべには食感がよい。とちおとめを自殖すれば、とちおとめより味が濃い系統は作れるはずなので、それを利用していきたい。

 とちあいかは硬すぎる、あまおうは美味しいけどなんか違う……とか思ってるけど、一応それらも使って固定系統を作ってみる予定。例えばゆうべに×とちあいかで掛け合せてから自殖したり。最終的にどの系統を利用したF1が優れるのかはやってみないとわからないから、できるだけたくさん作った方がいい。まあでも味の傾向的に言えば単純にとちおとめ×ゆうべにが一番になりそうな気はするな。もちろん栽培性も高めたいから色々掛け合わせるのが大事。

 イチゴの高糖度に影響する要因として、肥大性の弱さや草勢の弱さが考えられるが、自殖系統では必ず草勢が弱まるので、その自殖弱勢のみによる高糖度化が起きている系統を交配親として使った場合、F1では弱勢が消滅するので、高糖度も消滅してしまって何の意味もないという懸念がある。つまり、単純に高糖度な系統を選べばいいのではなく、葉や収量や草勢との比較をしながら、F1になっても残りそうな高糖度要因を持つ系統を選ぶ必要があるのではないか、という事を今日はちょっと考えました。

 小さい花がたくさん咲く系統の方が高糖度になりやすそうな気がしてる。一般的な品種開発の傾向は花数を減らして果実を大きくするのだけど、それだと着果負担が短い期間に集中して養分の競合が起きて糖度が下がりかねない。ひとつの花房が長期間ダラダラと開花し続ける事も高糖度に繫がる気がする。

 まあ、どうなるんでしょうか。一番悲しいのは、色々やった結果、紅ほっぺの苗を買おう!という結論になったりする事。都道府県で品種開発をやっても、結局普及せずに他県の品種を農家がみんな使ってるっていう地域があるんですよね。悲しいね。ただそれはそれで、紅ほっぺがマジで優秀だったという証明でもあって、紅ほっぺを交配親として新たな品種開発をしたりしてるので、努力し続けるのが大事ですね。

 

 カボチャはここ数日で急に大きくなった。

 

 トマトはもうちょっとで収穫。ミニトマトは既に収穫始めてます。トマトに初めてアブラムシがついてるのを見つけてしまった。下葉が具合悪いから病気かと思って裏見たらアブラムシついてた。キモいわ。

 

 小玉スイカ。26日着果で一番早いやつ。どちらかというと2番花だけど、最初の1個は早くてもいいのでつけてみた。これが気温次第では6月末収穫になる。