基本的には、硝酸なんとかという物質と、なんとかカリウムという物質を、それぞれ水に溶かして、その溶けた水を混ぜ合わせる事によって、硝酸カリウムを作ります。
つまり、硝酸なんとか+なんとかカリウム→硝酸カリウム+なんとかなんとか、というわけです。この時、なんとかなんとかが水に溶けにくい物質である必要があります。なんとかなんとかが水に溶けにくい物質であれば、硝酸カリウムだけが水に溶けている状態になるので、分離できるわけです。(このように分離できるからこそ、硝酸カリウムが生じるというわけでもある)
まずは硝酸なんとかの入手方法。硝酸カルシウムは肥料として売られています。これが一番手に入れやすいと思われます。または、硝酸アンモニウムというものも売られている事があります。ちなみに、硝酸カリウム自体も場所によっては普通に売られている事があります。売ってたらそれ買ってください。(終了)
おしっこから硝酸カルシウムを作る方法もあります。枯草と土(色んな菌がいそうな、栄養豊富なもの)を混ぜたものに、おしっこを大量にかけて、雨に当たらないよう(できた硝酸カルシウムが流出しないように)、乾かないよう(乾燥すると菌が活動できない)、たまにかき混ぜて(菌が酸素呼吸できるようにするために)、暖かいところに一年ほど置いておくと、硝酸カルシウムができるので、水に溶かして精製して完成です。そこらじゅうの土の中に普通にいる亜硝酸菌というものが、まずアンモニアを亜硝酸にして、そしてこれも普通にいる硝酸菌というものが、その亜硝酸を硝酸にしてくれるんだそうです。そして土の中のカルシウムとくっついて硝酸カルシウムになる。アクアリウムをやってる人にとってはお馴染みの菌です。水槽の中の水に含まれるアンモニア(魚のおしっこやうんちに含まれる)は魚たちにとって有毒なので、これを亜硝酸、硝酸にして、毒性を下げる。それによって水槽の水を長期間交換しなくて平気にする。という事は、水槽の中の水には硝酸塩がかなり溶けているという事になる。土の中ではなく水の中で硝酸を作る方法もありそうです。やった事がないし情報もあまりないのでわかりませんが。誰か研究してみて。土式より水式の方が短期間で大量かつ高純度の硝酸塩を得られそうな気はする。硝酸を食べる菌というのもいるらしいので、そいつの抑制とかも考えていく必要があるか。あと、亜硝酸菌や硝酸菌の活動の活発さは、phによって変わるらしいので、、、まあ詳しくは各自研究してくれ。
次は、なんとかカリウムの入手方法。炭酸カリウムや硫酸カリウムが肥料などとして普通に売られてます。炭酸カリウムの方が水に溶けやすいので、硝酸カリウムを作るうえでは都合がいいんですが、値段は硫酸カリウムの方が安いです。
炭酸カリウムを自分で作る方法もある。植物を燃やしたあとの灰の中には炭酸カリウムが含まれていて、炭酸カリウム以外にはほとんど水溶性の物質が含まれていないので、灰を水に入れて、炭酸カリウムだけを溶かして取り出す事ができます。たくさん作ろうとすると結構面倒くさいけど、まあ頑張ればできる。
硝酸なんとかと、なんとかカリウムが揃ったら、それをまず別々の水に溶かします。冷たい水よりお湯の方が溶けやすいので、お湯にしてください。それぞれ溶けきったら、今度はそれらを混ぜ合わせます。
ちなみに、それぞれの量ですが、これは何を使うかによって変わってきます。分子量とかモル質量とかよくわかりませんが、それで計算してください。そのくらいわかるでしょ?
ちなみのちなみに、硝酸塩というのは大抵、空気中の水分を吸収して重さが変わるので、計量するうえでは結構やっかいです。
私がこないだ、硝酸カルシウム(四水和物)と炭酸カリウムでやってみた時は、どのくらい水分吸収しちゃってるかわからないので、硝酸カルシウムの量を少し多めにしてみました。で、混ぜ合わせたらなんか変なブヨブヨな感じになって、えっ何これ大丈夫なのと思って少しかき混ぜてたら、いきなりサァーッと溶け合って、炭酸カルシウム(水に溶けない)が沈殿して、綺麗に分離しました。
そしたら、濾過して、沈殿物を除去します。透明な液体が得られる。この液体にはほとんど硝酸カリウムだけが溶けているので、取り出せばいいわけですが、さっき書いたように、原料の量をぴったり合わす事が難しいので、必ずどちらかの反応し残りが、液体の中に僅かに溶けて残っている事になります。そこから純度の高い硝酸カリウムを得るには、乾燥ではなく、冷却によって硝酸カリウムを析出させる必要があります。析出させる場合、その液体の硝酸カリウム濃度が高い方が、得られる硝酸カリウム量が増えて効率がよくなるので、ある程度蒸発させてから冷却したり、最初からできるだけ濃度を高くするよう工夫(硫酸カリウムでなく炭酸カリウムを使うなど)したりするといいんでしょうか。
析出した硝酸カリウムは、このようになります。綺麗な結晶になりました。純度はまあまあ高いはず。ここに来るまで、簡単だけど結構面倒くさかった。(´Д`)
ちなみに、硝酸カリウムを作る際に副産物として得られる物質、今回私がやった場合では炭酸カルシウムですが、こちらも有効に活用したいところです。
炭酸カルシウムは、加熱すると酸化カルシウムとなって、乾燥剤としてや、お弁当を温めたりする時の発熱剤として使えます。酸化カルシウムに水を混ぜると水酸化カルシウムとなって、肥料や漆喰の材料として使えます。結構色々な使い道があります。
硫酸カルシウムの場合は、加熱すると石膏として使えるようになります。像を作ったり、鋳造の型を作ったりできます。自分としては、魚釣りの道具(メタルジグなど)を鋳造で作る事があるので、硫酸カルシウムの方がありがたい気がしますね。酸化カルシウムは貝殻を焼けば幾らでも手に入るし。まあ、副産物なのでメインではありません。
硝酸カリウムの使い道についてですが、肥料としては最高に優れた性能があります。溶けやすく、即効性があり、根を痛めず、保存しやすい。硝酸カルシウムのままでも肥料として優れてはいるんですが、私が持ってたのは四水和物で、これは置いておくとどんどん水分を吸収して、がちがちに固まってしまってどうしようもないので、吸湿性のない硝酸カリウムに変換してしまいました。植物の三大栄養素は、窒素、リン酸、カリウムで、硝酸カリウムにはそのうちの窒素分とカリウム分が含まれているわけなので優秀です。先日、ニンニクを植えた時に、肥料としてあげてみました。たぶん効くはず。これから追肥でも何度かあげてみます。五月頃になったら収穫できる予定。楽しみ。
あとは、火薬の材料としても使えます。だけど火薬を作るのは危ないからやらない方がいいです。やらずに済むなら。
追記(2017/12/25)
ニンニクは元気です。ただ植えたのが通常の植え付け時期より一ヶ月くらい遅かったので、この先どうなるかはわかりません。若干小振りになるかもしれない。まあ元より増えれば儲けものです。
あと、今日ちょっと不意に思い立って、硝酸カルシウム四水和物と「硫酸カリウム」を使ってまた面倒くさい硝酸カリウムを作ってみました。ちょうど硫酸カリウムがあった。
で、まずその硫酸カリウムが、なかなか水に溶けないのね。溶けたあとも、謎の白濁(結構濃い)が発生した。恐らく肥料用に売られている硫酸カリウムには不純物が多いのかと思われる。なんかカルシウム系なのかなという感じの白濁の仕方。製造過程で混入するもんなのかな?どういう過程か知らないけど。
あともうひとつ、謎の黄色の水溶性物質も混入していた。溶けた水が、白濁したうえ、黄色になった。不明です。でも黄色って硫酸系っぽいよね。硫酸カリウムは白だけども……。(あとで調べてみたら硫酸カルシウムが黄色らしいのでたぶんそれかなと)
結果としては、薄~く黄色な硝酸カリウムができました。硫酸カリウムを溶かすために必要な大量の水のほとんどを、混ぜ合わせたあとに蒸発させる必要があるので、かなり面倒くさいです。硫酸カリウム自体が炭酸カリウムより安くても、全体のコスパとしては炭酸カリウムの方がいいな。
というわけでした。もう硫酸カリウムでは作りたくないなという感じ……。純度も微妙だし、疲れる。
硝酸カリウムというか、硝酸の作り方として、電気火花で空気中の窒素を無理矢理(?)硝酸にしてしまうという手もある。そこからあとは好きなものと結び付ければいい。純度も高められそう。電気代がどのくらいかかるかが問題ですね。